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株式会社モバキッズ代表取締役インタビュー

経歴

インタビュアー: やまもと

「好きだ」と思えること

まずはじめに、なぜ学生の時に起業しようと思ったのか、経緯を教えていただけますか?

学生時代、ビジネスコンテストを運営するサークルに所属していたんですが、ビジネスプランを考えるだけでなく、実際にプランを実行してみたいと思ったことと、あとは周りに学生起業した知り合いが何人かいたのも理由ですね。いつかは起業したいと思っていましたので、最初のステップとして、学生時代に起業するのはリスクも少ないし良いんじゃないかと思っていました。

なるほど。では、起業したあと、大学生活が終わる時に、自分の会社を辞めて一般企業に就職することは考えませんでしたか?

もちろん選択肢としてはありました。しかしその選択肢を比較した際に、就職することによって、得たいものとか、進みたい道とかがなくて。逆に自分の会社を続けていっても、仮に会社を売却することがあれば、そのあと一般企業に入ることもできるので。簡単に言うと、自分のキャリアパスを考えた時に、就職するメリットがなかったので、自分の会社を続けることにしました。

なるほど。では、今モバキッズでは電子書籍販売など、コンテンツ販売のプラットフォームを作成・運営する事業を中心に展開なされていますが、なぜその事業を選ばれたのですか?

iPhoneなどのスマートフォンが世に出てきた頃に、このツールの使い道はなんだろうって考えた時、「これでマンガが読めるな」って思ったんですね。今までの携帯電話よりも、スマートフォンの方が出来ることの幅も広いし、流通の形態も大きく変わるだろうと。そういう、起こすことのできるイノベーションが大きそうなのが、電子書籍だと考えたのが理由の1つですね。あとは高校生の時から本を読むのが好きで、書籍に関する事業をいつかやりたいとは考えていたので、その2つの理由がマッチして、今の事業を選んだ、っていう感じですね。

その事業をひらめいた時っていうのは、ピンと来たんですか?

そういう感じではなくて、やっぱり本が「好きだ」っていう本質的な動機があったし、自分も欲しいし、ビジネスになるかどうかは置いておいて、とにかくのめり込めそうだな、と思えるテーマだったことが一番の理由ですね。そのあとで、理性的になって、ビジネスになるのかどうか、可能性があるかどうか、っていうところを考えていった感じですね。

起業に際して苦労なされた点などはありますか?

もちろん実際の業務内容では色々な苦労はありましたが、立ち上げそのものではあまり苦労は感じなかったですね。学生起業は当時珍しく、先輩の経営者の方に支援していただいたり、色んな人を紹介していただいたのが大きかったと思います。

学生目線では、ベンチャー企業の社長っていうと、「頭が切れて、仕事が出来て、かっこよくて」みたいなイメージが強いんですけど、田村さんがベンチャー業界を見ている中で気付いた、ベンチャーで働く人たちの特徴って何かありますか?

周りを見ている限り、別に「すごい人」が起業しているわけではなくて、「起業せざるを得なかった人」が起業していますね。というのは、一般企業などで、ある意味「まっとうな生き方」をすることができず、自分でやっていくしかない、そんな生き方しかできない人が多い気がします。また別の視点から言えば、今は起業そのものが結構盛り上がっているので、起業するっていう選択肢はあまり特別なものではなく、キャリアパスの中での普通の選択肢だと思いますね。就活とかに比べて決まったやり方があるわけでもないので、中々学生の選択肢に上がってこないじゃないかなと思います。少なくともハードルを感じるものではないですね。

学生時代の時間の使い方

では、田村さんの学生時代の生活をもう少し掘り下げていきたいんですが、学生生活で力を入れていたことってありますか?

先ほど言っていたビジネスコンテストのサークルと、あとはゼミくらいですね。大学3年の最初に起業して、それ以降はあまり学校に行っていないので(笑)

どのようなゼミに所属していたんですか?

経済学部だったので、データを解析してモデル化し、仮説を検証していく、っていうことをやっていました。モデルそのものは大して今役に立つものではないですが、データを分析して戦略に落とし込んでいく、っていうのはすごく勉強になりましたね。単純に学問をやるだけなら、本を読めば知識はつきますよね。ゼミで先生に指導してもらって勉強していく、っていうのは大学にいないとできないので、限られた時間の中で、選ぶとしたらそれが一番貴重な機会だな、と思っていました。

なるほど、では、学生生活の時間の使い方で、良かったなと思う点などはありますか?

大学3年の最初で起業したことですね。遅くなればなるほど、一般就職した友人たちに追いつかれる可能性も高くなるので。なるべく早い段階でスタートを切ったほうがいいと思いますね。

AKBが気になる理由

休日の時間の使い方とかはどんな感じですか?

色々ありますけど、友人と集まってボードゲームやポーカーなんかをすることが多いですね。戦略的な楽しさもありますし、いつもと違った頭の使い方で、良い頭の体操になりますね・・・という前向きな言い訳をしながら遊んでます(笑)

よく出かける場所とかはありますか?

前にシェアハウスをやっていた関係で、色々なシェアスペースにつながりがあって、そういったところのイベントに参加したり、イベントをやったりしますね。

なるほどー。田村さんのTwitterを拝見したところ、AKBがお好きなのかな、とお見受けしたんですけれども、そういったものは趣味のうちには入っていないんですか?

どちらかというと趣味というよりもコンテンツとしての研究対象だと思っています。今やっている電子出版も、コンテンツにどう課金していくかっていうところが問題になっていて。その点で最先端にあるのがソーシャルゲームと、アイドルビジネスだと思うんですね。しかもものすごく成功しているし、日本にしかないという点も魅力ですね。これらのような人間の心理を上手くつかんでいるモデルを、応用して活かせないか、新しいコンテンツビジネスを作れないか、ということを考えています。

そこまで深く考えているんですね。

そもそも新しいビジネスに触れるということはすごく楽しいので、そういうものを見に行くことは、休日でもそれ以外でも、ジャンル問わずやっていますね。

「淡々と起業」すればいい

今の学生を見ていて、何か思うところはありますか?

優秀な人も多いんですけど、自信を持っていない方が多いな、という印象はありますね。すごく論理に整合性があって、知識もあるのに、「○○が出来ないんで僕は全然だめです」って言ってる人が多いというか。短所は短所で仕方ないから、もっと長所に自信を持って、長所を伸ばしていけるように頑張っていく、という考え方を持ってもいいんじゃないかな、と思いますね。これからの時代、残念ながら、1つの会社に入って一生その会社で勤めあげられる時代でもないと思うので、自分の力でどうにかしていこうとしたら、長所を認識してそこに自信を持っていくことが大切だと思いますね。

では最後に、今起業を考えている学生にメッセージを頂けますか?

・・・まあやってみたらいいんじゃない、っていうことですね(笑)。同世代で同じように起業したけれど、今はもう辞めちゃった人も多いし、自分もいつそうなるか分からないですけど、だからと言って命を失うわけでもないし、東京にいられなくなるわけでもないので。起業って言っても特に決心とか、思い切る必要もないんですよね。冷静に淡々と考えて、選択肢を選んでいけばいいんじゃないかと思います。起業したいなら、淡々と起業すればいいんじゃないでしょうか。

「淡々と起業」ですか。僕らの持つイメージだと、起業って何かものすごく高いハードルを乗り越えないと出来ないイメージがあるんですよね。起業するにしても、一般企業で10年くらい働いて、経験や資金を貯めてから、みたいな。

多分統計を取ってもらえれば分かるんですけど、今上場しているベンチャー企業の社長でも、経験を積んでから起業した人が多いかといえば決してそうじゃないと思いますよ。それに年を取ってからだと、失敗すると後がないので。

確かにそうですね。では、本日は貴重なお話ありがとうございました!